海のシルクロード史―四千年の東西交易 (中公新書)



海のシルクロード史―四千年の東西交易 (中公新書)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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NHK『海のシルクロード』への便乗

 著者はシルクロード研究に長年携わった人物で、関係の著作も多い。しかし本書はNHKの『海のシルクロード』に便乗しただけの失敗作としか思えない。『海のシルクロード』が放送された直後の1989年に出版されているのだが、番組を見て本書を購入した人はがっかりしただろうと思う。
 とはいえ、内容がお粗末なわけではない。インダス文明の頃から、ローマ期、イスラムの興隆、宋代、マルコ・ポーロ、大航海時代初期まで、それぞれの時代の貿易のありさまが手際よくまとめられている。ローマから中国までという海のシルクロード全体を一挙に扱うのではなく、紅海、インド洋、また時代を区切って論じている点には工夫を感じる。しかし海のシルクロードを細切れにしてしまったために、シルクロードの持つ東西交流の意味、ロマン、ダイナミックさなどが失われてしまっているのである。単なる近隣国の海上貿易に終わっている。
 主要な文献を紹介するだけという形式も失敗の原因だろう。各時代の基本文献が取り上げられ、記述内容から当時の交易を推定しているのだが、いかにもやっつけな感じは否めないし、読んでいて面白くない。



中央公論社
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