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怪帝ナポレオン3世
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| ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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ルパン3世はルパンの孫です
鹿島茂が、ナポレオン3世の伝記を書く、これで面白くないワケがない。ということで、大傑作です。
ただ、細かい指摘を1点。巻頭で「ルパンには甥がいた。その名もルパン3世」、同じように「ナポレオンには甥がいた。その名もナポレオン3世」とあるが・・。
ルパン3世は、ルパンの孫・・。ここは鹿島先生もトチったか??
この点、再刷時に、もしかして読者からの指摘で修正されているかもしれないが、私が読んだ第1刷では、こういう表記でした。
教科書でのイメージ一新。
教科書風のイメージで言えば、
皇帝ナポレオンのマネをして自分も皇帝になったが、結局はすぐに瓦解する。
本書を読むと、
実際はそんなに簡単に言える人物でもないし、
簡単な歴史でもないということがすぐにわかります。
現にナポレオン三世の治世にフランスはおおいに飛躍を遂げています。
また、日本が明治維新のときのフランスはどうだったのか。
という視点で読むのもおもしろいです。
フランスは徳川家を支援していました。
イギリスは薩長側を支援していました。
矮小化されたイメージを一新させる秀作
「愚物が偉大な叔父の七光りで政権を手に入れたが、分不相応な拡張主義が祟って没落」という従来の見方を一新させる。ルイ・ナポレオンの理想は自著にも記された「民衆の正当なる欲求を満たすことによって革命の時代を閉じる」こと、すなわち大革命以来の政治的動乱の時代に終止符を打ち、内政の安定のもとで産業振興と労働者階級の福祉充実を図ることにあったと筆者は分析する。 矢継ぎ早の福祉政策や、労働者階級の政治的権利拡大などの施策は、第二帝政が大衆の支持に立脚するという点を割り引いてもなお新鮮である。これらはルイの思想形成にサン・シモン主義が影響を与えた結果であるとしている。 また、パリ大改造についてもその着想の出発点を衛生、景観、治安対策に矮小化させることなく、流通促進と循環による富の増大を視野に捉えていたことを立証している。 不動産担保に拠らない事業金融会社を創設し、退嬰的だった伝統的銀行までがこれに刺激され商工業、運輸が急速な発展を遂げる様子、独断で電撃的に締結した英仏通商協定(関税クーデタ)で自由貿易に道を開き、結果的に国内産業の覚醒を促したことなど「産業皇帝」としての側面も紹介されており、こうした新しい時代の幕開けを感じさせる記述は、本書の中でも一きわ精彩を放っている。 外交・軍事における失敗(メキシコ出兵、普仏戦争)や、クリミア戦争、イタリア戦争の悲劇的側面にもしっかり言及している。結果的には外交面での蹉跌が致命傷となったが、その功績にも光を当てることで、近代国家フランスを準備した君主の真実の姿を立体的に描き出すことに成功している。 風刺画、写真、肖像画が豊富に使用されており、本書の起伏に富んだ盛りだくさんの内容を理解するのに大変効果的。 植民地政策への言及がわずかである点は少々バランスを欠くかもしれない。
ようやく本格的に登場したナポレオン3世の評伝
私は、ナポレオン3世ほどマルクス主義的歴史観の犠牲者はいないと考える。それはパリ改造をはじめとしてフランスを近代国家に導いた偉大な皇帝でありながら、常に伯父ナポレオンの栄光を傘にクーデタという反動的な方法によってフランスを乗っ取った独裁者とわが国では今でも扱われていることだ。実際、彼は「貧困の絶滅」を唱え、労働者の生活改善を訴え、今の社会保障システムの原型を提唱した人物でもある。更に鉄道建設をはじめとする公共事業を推進するなど、国内のインフラ整備を進めたのも彼の治世においてである。彼が提案したことは今日においてはほとんど実現されている。それを19世紀のしかも2月革命の混乱のさなかにナポレオン3世は提案しているのだ。この先見の明はナポレオン3世が「馬鹿で間抜けな皇帝」でないことの証明である。彼の人となりやその思想をわかりやすく解説しているので、歴史好きだけでなく、大勢の人にこの「怪帝」のことを知ってほしいと思う。世界史で教わったナポレオン3世のイメージが変わること請け合いである。
講談社
パリ時間旅行 (中公文庫) 明日は舞踏会 (中公文庫) 乳房とサルトル 関係者以外立ち読み禁止 (光文社知恵の森文庫) 八月の砲声 下 (ちくま学芸文庫) 60戯画―世紀末パリ人物図鑑 (中公文庫)
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